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 3月14日に行われた参議院の政治倫理審査会において、世耕弘成前自民党参議院幹事長が「誰がどう決めたのか分からない」などと言い逃れ・曖昧答弁を繰り返したことに批判が集まりまっています。本件については強い憤りを感じますが、改めて機会を設けて書かせていただきます。

 さて、同じく最近世間を呆れさせたのが、国会でしどろもどろ答弁を繰り返えす加藤鮎子少子化担当大臣です。

 加藤鮎子氏は、参議院の予算委員会において、立憲民主党の石橋通宏議員から「異次元の少子化対策」に関して「担当大臣として、未婚率の増加の原因はなんだと考えているか」と問われると、いかにも役人が書き上げた答弁書をたどたどしくも棒読みしていました。すると、石橋議員から「経済的な不安定の原因はなにか」と突っこまれ、答えに窮して慌てふためきながら答弁書の該当箇所を探した挙句、「原因はさまざまあるが、経済的な背景等さまざまあると思う」と担当大臣とは思えない知識に欠けた答弁をしました。これに対して、ネット上では「異次元のポンコツ」、「テヘペロの乱」などと批判の声が相次ぎ、岸田首相の任命責任を問う声が強まっています。

 今回の記事で加藤鮎子氏を取り上げた理由は、彼女は悪い意味で自民党政治の象徴だからです。御存じのように、加藤鮎子氏の父は「加藤の乱」で有名な故加藤紘一元自民長幹事長です。かの「加藤の乱」の時、宏池会に属していた岸田首相は派閥の会長だった加藤紘一氏の子分でした。岸田首相は、元親分の娘である世襲議員を、能力が備わっていないのにも関わらず、女性閣僚を増やすために縁故人事で無理やり閣僚に起用したと言えます。能力が備わっていない人間を縁故人事で重用したと言う点では、子息の翔太郎氏を首相秘書官に登用したことと共通点があると言えるでしょう。

 自民党国会議員の約3割が世襲議員であり、さらに2022年8月に発足した第2次岸田第1次改造内閣では実に閣僚20名のうち6割の12名が世襲とうんざりする高さであり、現在の第2次岸田第2次改造内閣でも依然として半数近くが世襲議員と言えます。特権的な待遇を当たり前にして育った人間が、党内候補者選抜において不当に有利な条件で党内候補に選抜され、野党が弱体化している中で当選を重ねるわけです。すると、親の頃からの付き合いがある様々な利益団体に対して不利な対応を取りづらくなって、利益誘導政治が進みます。それによって既得権益擁護の政治経済体制が強固になり、経済の新陳代謝を起きにくくなって経済が停滞するのは容易に想像できるでしょう。自民党議員の世襲化の進行と日本経済の停滞が時期的に重なっていることは、単なる偶然ではないと思います。

 男中心の保守政党「自民党」が権力を握り続ける中で、日本における女性の社会進出の遅れは世界最悪レベルです。女性閣僚の比率の少なさが指摘される中、岸田首相は何とかしないと他のG7諸国に対して顔が立たないと思ったのでしょうけど、党内で閣僚未経験だけど当選回数がそこそこある女性議員を見つけるとなると、世襲議員ばかりになってしまい、今回の内閣で初入閣の女性閣僚3人は皆世襲という結果になりました。しかしながら、能力が備わらないのであればかえって非難を浴びるだけになってしまいます。こんなことをやっていては、他国との差が開くばかりでしょう。本当に情けないです。この状況を変えるには、政権交代の実現・世襲禁止(少なくとも同一選挙区からは)、さらにクオーター制の導入が不可欠だと私は思います。

 女性に対する問題と言えば、自民党青年局が、昨年11月に和歌山市で開いたハレンチ懇親会の件で大ひんしゅくを買っています。中でも、青年局長代理が中曽根元首相の孫の中曽根康隆衆議院議員だったことが話題になっており、中曽根議員のいかにもな経歴が「パリピ半生」などと揶揄されています。加藤鮎子氏もそうですが、中曽根議員の松濤幼稚園⇒慶應義塾幼稚舎⇒慶應義塾大学⇒外資系金融機関勤務⇒親の中曽根弘文元外相の秘書という経歴を見れば分る通り、自民党世襲議員のキャリアパスにおいて、慶應の内部からエスカレーター進学⇒商社などの民間企業⇒親などの秘書⇒国会議員というケースが増えているように思えます。現に、2021年9月時点では自民党の世襲議員の約1/4が慶應大卒であり、異常だと思わざるを得ません。慶應義塾側としては入試の際に著名人の子息に下駄をはかせていることはないと言い張るのでしょうけれど、本当かな?と首をかしげたくなります。

 慶應エスカレーター内部進学者が多いのは、①親が仕事の都合上東京の中心部で子供を育てるのが便利な上に、②大学受験で失敗させたくないとして小さい時から教育にお金をかけた結果なのかもしれません。しかし、現実として特権階級化が進んで日本が駄目になっているのは否定できず、こうしたおかしな状況を一度リセットしなければ日本は再生できないと感じています。

 最後に、日本の少子化問題を考えた時、既婚者に対して子供を増やす援助するのも重要ですが、一番重要なのは、「結婚しなければ子供を産みづらいけど、結婚に至る経済力を得ることができない」ような未婚者に対して支援を行うということです。経済的な苦労をしたことが無い特権階級の自民党世襲議員が、手堅い給料をもらっている既婚者の役人がやっつけ仕事で書いたような答弁書を言われたままに読んでいるようでは、日本の少子化と衰退は止まることが無いでしょう。

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