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  この度、進歩党は党の新憲法草案の第一版を公開しました。私たちは、現行の日本国憲法の価値を十二分に認めながら、それを時代に合わせてより進歩的・合理的にアップデートさせた日本国憲法Ver.2を、立憲主義に則って制定すべきだと考えています。

 9条以外の項目は改正しても良いが現行憲法を少しでも変えると9条が改正される契機となるいう理由でいかなる憲法改正にも反対する方々がいますが、そういった硬直的な対応はかえって、立憲主義を理解しない自民党政権による解釈改憲を加速化させることにつながるでしょう。理想は捨てる必要はありませんが、現実と憲法の条文に著しい乖離があった場合、目標と現実の差を客観的に理解して、それを徐々に縮めていけるよう、目標とそれに向けての法の運用を憲法で明記するのが正しいあり方だと思います。

  今回の案は、党の政策調査会で作成し、党の中央委員会で了承されたものです。内容としては現在の党としてベストを尽くしたものですが、人的リソースの問題から内容的な不備があるかもしれません。今後、皆様に広く意見を募集しますので、コメントを下記のフォームから頂けると幸いです。皆様からのご意見を参考に最終案を作成・公表していきたいと思いますので是非よろしくお願いいたします。


党新憲法草案(第一案) の概要

① 国民の直接の一票でリーダーを選び、政策の実現に長期的に取り組める政治を実現!

  • 天皇と直接公選で選ばれた大統領が共存する象徴君主制と共和制の混合政体の実現
  • 大統領(および副大統領)をはじめとする全ての首長の任期を1期5年再選1回に制限
  • 内閣の正式名称を閣僚評議会とし、内閣総理大臣に変えて閣僚評議会議長を設置し、フランス・台湾型の半大統領制を導入
    • これにより、国政トップである大統領が国会での答弁に忙殺されず、外交により注力することが可能になる
  • 行政の最高意思決定機関として、大統領が議長を務め、閣僚評議会構成員が全員参加する「国家評議会」を設置

② 衆参両院の再編で、二院制の良さを残しつつ、一院制のような迅速な審議を実現!

  • 現在の衆参両院を再編し、同定数の衆参両院からなる連邦議会を創設
  • 衆議院は国民全体の代表、参議院は国民の代表であると共に各州の代表であると明記することで両院の存在意義を明確化
  • 衆参両院の議決が違った場合は、合同会議を開き単純多数決で議決することでねじれ発生解消
    • ただし、片方の院の賛成が25%以下の場合は可決を認めないことで、両院に拒否権を残し、二院制のチェック機能を残す
  • 連邦議会を通年開催とすることで、権力による裁量的な国会運営に歯止めをかける

③ 連邦制(州政府)導入と首都移転で日本を活力ある地方分権国家へ!

  • 州政府導入と中央政府の権限の州への移譲、州の下部機関とした形での現行都府県の存続で、行政の肥大化を防ぎつつ地方分権を推進
  • 地域間格差拡大防止・国と地方公共団体の意見相違時の円滑な問題解決のために中央政府の地方公共団体に対するコミットメントを明記
  • ワシントン(米)、ブラジリア(伯)、オタワ(加)、キャンベラ(豪)を参考にし、既存の地方都市(東京圏外)に政治首都(連邦特別区)を建設

④ 憲法裁判所創設で権力の暴走を抑止し、防衛・緊急事態対策の憲法明記で国土を守る!

  • 強力な権限を持つ憲法裁判所を導入し、解釈改憲を抑止
  • 自衛隊の「防衛機構」への名称変更とその役割と行動の制限の記載
  • 権力の暴走を憲法裁判所が抑止する形での緊急事態条項導入 

⑤ 新しい時代を見据えたリベラルな社会条項を追加し、進歩的な公正な日本を実現!

  • 性別を定めない形での当事者間の身の合意による婚姻の権利の明記
  • 死刑制度の廃止(党内多数派意見)
  • 中央政府および地方公共団体の地球的な環境問題の克服に向け主体的に行動する義務の明記

 新憲法制定後の各行政機構間の関係図 


進歩党 新憲法草案(第一案)の構成

前文

本文

第一章 天皇
第二章 戦争の放棄と例外、国際平和実現への役割
第三章 緊急事態発生時の政府の対応
第四章 日本国における政府の構成と政府の日常的義務、国民の権利および義務
第五章 連邦議会と政党
第六章 大統領、副大統領、大統領代行
第七章 国家評議会と国務大臣
第八章 閣僚評議会および日本国連邦行政府
第九章 司法
第十章 財政
第十一章 地方自治
第十二章 改正
第十三章 最高法規
第十四章 補則

 


進歩党 新憲法草案(第一案)

2023年7月26日

現行憲法との比較が記載されたPDF版はこちらダウンロードできます。

前文

日本国は、過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略により多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた。我々日本国民はこの歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省の意を表し、植民地支配と侵略により犠牲になられた内外全ての方々に深い哀悼の念を捧げるとともに、唯一の被爆国としての体験を踏まえ、日本国として、日本国民の安全および日本国土の防衛を大前提とした上で、究極的な核兵器の廃絶を目指し国際的な軍縮を積極的に推進することを誓う。
日本国民は、一九四六年憲法の制定時に、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚しながら、恒久の平和と安全を願い、平和と正義を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、自身の安全と生存だけではなく諸国民の安全と生存を保持する決意をした。いずれの国家も自国のことのみに専念して他国を無視してはならず、普遍的な存在である政治道徳の法則に従うことは、自国の主権を維持し他国と対等な関係に立とうとする各国の責務であるが、今日において、我々日本国民を含む人類に求められていることはこれだけではない。人類以外の生物の存在を尊重しながら、環境問題を克服し持続可能な地球環境を創り上げることは、人類共通の責務である。
我々日本国民は、二十一世紀になっても存続している独善的なナショナリズム・領土拡張主義が国際社会において破滅をもたらすことを強く訴え、国際協調の促進に主体的な役割を果たすことを通じて、平和の理念と民主主義を世界に広げて行く使命があると認識する。科学技術の進歩と経済のグローバル化は、世界経済に総額での成長をもたらす一方で、深刻な地球環境問題と富の偏在を引き起こした。今、人類は存続の危機に瀕している。第二次世界大戦後、経済成長による繁栄を享受してきた日本国は、より公正で持続可能な世を創るために、国際社会において積極的な役割を果たす決意がある。
我々日本国民は、上記の認識の下、一九四六年憲法が唱える平和主義、基本的人権の尊重、国民主権の精神を継承した形で、新しい時代に適応した憲法を作成した。ここで、共和制を政府が特定の個人や階級のためにではなく全国民共通の利益に対して奉仕する政治体制と定義した場合、国家の主権者たる国民は、共和制国家において政府の最高指導者を自らの一票で直接選ぶ権利を当然有するが、このことは天皇を日本国の象徴と定義した一九四六年憲法の精神と何ら矛盾するものではない。本憲法において、我々日本国民は、国民主権と民主主義の徹底を目指し、天皇と大統領が共存するという新しい政治体制を導入した。この日本国の新たな試みは、立憲君主制を取る諸国家においても象徴君主制と共和制が両立する新しい政治体制を構築する上で参考になるであろう。
その上で、新体制において大統領に権力が集中し独裁が起きることはあってはならず、三権分立の下、大統領以下日本国政府構成員は法令を遵守して絶えず抑制的な権力行使に努める一方、立法および司法は絶えず権力の乱用が起きないように政府を監視し、問題がある行動に対しては是正を求める責任がある。他国から模範と思われるような先進的で民主的な政治体制を提示し、それを維持することこそ、平和国家としての世界に平和を広めていく日本国の使命の一つである。
国際社会において、平和で安全な環境を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去することは、人類の崇高な理想であり目標である。我々日本国民は、最大限の努力をしこの目標を達成することを、この憲法の下で誓う。

本文

第一章 天皇
1条   天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
2条   皇位は、世襲のものであって、連邦議会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
3条   天皇の国事に関する全ての行為には、大統領の助言と承認を必要とし、大統領がその責任を負う。
4条 1項 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。
  2項 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
5条   皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行う。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
6条   天皇は、大統領の助言と承認により、国民のために、国家評議会と共同で、左の国事に関する行為を行う。
一 憲法改正および条約を公布すること。
二 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除および復権を認証すること。
三 栄典を授与すること。
四 外国の大使および公使を接受すること。
五 儀式を行うこと。
7条   皇室に財産を譲り渡し、または皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、連邦議会の議決に基づかなければならない。
第二章 戦争の放棄と例外、国際平和実現への役割
8条 1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを用いない。しかし、以下の例外を置く。
一 日本国領土に対する明確な武力攻撃、およびその可能性が差し迫った時。
二 日本国が加入国となっている集団的安全保障の国家間組織の加入国に対して明確な武力攻撃、およびその可能性が差し迫った時。
三 日本国が加入国となっている集団的安全保障の国家間組織が、紛争地域に対して武力介入を決定した時。
2項 第一項に挙げられた例外が生じたとき、日本国は平和を早期に回復させるため必要な武力行使を行うことができる。この目的を達するための防衛組織として防衛機構を設置する。
9条   防衛機構が平和の回復のためとは無関係な集団的殺戮や破壊行為を行うことは絶対に認められない。また、日本国政府は、日本国が加入国となっている集団的安全保障の国家間組織がこのような行為を行ったまたは決定した場合、当該行為を非難し、さらに当該行為を停止させるために必要な行動を起こさなければならない。
10条   各州は、防衛組織として州防衛機構を持つ。
11条   各州政府の長は、当該州防衛機構の最高指揮官である。
12条   各州防衛機構は、防衛機構、沿岸警備隊、および警察と協力し、各州政府によって統率されなければならない。
13条   第8条および第9条に規定される防衛機構の権限と義務の規定は各州防衛機構に準用される。
第三章 緊急事態発生時の政府の対応
14条   外国等からの侵略の時および重大な自然災害または衛生危機が発生した時、日本国連邦政府および各地方公共団体は日本国内在住民の保護に最大限の努力をしなければならない。その際、大統領は事前または事後において連邦議会の議決と憲法裁判所の承認を以て緊急事態を宣言することができ、緊急事態権を発動できる。
15条   各州防衛機構は、緊急事態権発動期においては、大統領が最高指揮官を務める防衛機構の指揮下に置かれる。
14条   緊急事態権発動時において、大統領は、国家評議会の構成員の半数の賛成により法律および条約締結を制定できる。
17条   緊急事態権発動時において、大統領は任意に国務大臣を免任できる。
18条   緊急事態権発動時においても法律に反する大統領令は当然発することができない。
19条   緊急事態の継続期間は発動日から三か月とする。緊急事態の延長に関しては、三ヶ月ごとに憲法裁判所の許可を必要とするほか二年に一回は連邦議会による承認が必要となる。緊急事態の連続発動期間は最大十年とする。その後新たに緊急事態を発動するには、国民投票による承認または衆議院総選挙及び参議院通常選挙を新たに行った上での連邦議会による承認、そして憲法裁判所による許可を必要とする。
20条   緊急事態権発動時において、大統領は、国家評議会の構成員の半数の賛成により法律および条約締結を制定できる。
21条   憲法裁判所は、他の誰の許可を必要とすることなく、緊急事態権の即時停止を大統領および国家評議会に要請することができる。大統領およ国家評議会は正当な理由がない限り、この要請に従い緊急事態権を即時停止しなければならない。連邦議会が緊急事態権の発生を認めない議決を行った場合、大統領および国家評議会は即時に緊急事態権の行使を止めなければならない。
22条   日本国連邦政府は、国外において緊急事態に該当する事態が発生した時は、当該地域の居住または滞在する国民の保護に努めなければならない。
第四章 日本国における政府の構成と 政府の日常的義務、国民の権利および義務
23条 1項 日本国における政府は、日本国連邦政府と地方公共団体から構成される。
2項 日本国連邦政府は、行政、立法、司法から構成される。行政は大統領・副大統領・日本国連邦行政府から構成される。立法は連邦議会により構成される。司法は最高裁判所およびその各下級裁判所、憲法裁判所により構成される。
24条   日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
25条   全ての日本国民は、全ての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在および将来の国民に与えられる。
26条   この憲法が日本国民に保障する自由および権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、全ての国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。
27条   全ての日本国民は、個人として尊重される。生命、自由および幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
28条   日本国連邦政府と各地方公共団体は、お互いに協力しながら、全ての日本国民および全ての日本国在住民の生命の安全を確保に務めなければならない。
29条 1項 全ての日本国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。
2項 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3項 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴なない。栄典の授与は、現にこれを有し、または将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
30条 1項 公務員を選定し、およびこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2項 全ての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
3項 公務員の選挙については、普通選挙を保障する。
4項 全ての選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
31条   何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令または規則の制定、廃止または改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
32条   何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国または公共団体に、その賠償を求めることができる。
33条   何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
34条   思想および良心の自由は、これを侵してはならない。
35条   何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、または利用してはならない。
36条 1項 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない。
2項 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式または行事に参加することを強制されない。
3項 日本国連邦政府および地方公共団体は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
37条 1項 集会、結社および言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2項 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
38条   日本国連邦政府および地方公共団体は、自らの行為を国民に説明する義務を負う。
39条 1項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転および職業選択の自由を有する。
2項 何人も、外国に移住し、または国籍を離脱する自由を侵されない。
40条   日本国連邦政府および地方公共団体は、犯罪被害者およびその家族の人権および処遇に配慮しなければならない
41条   学問の自由は、これを保障する。
42条 1項 婚姻は当事者間の合意のみで成立し、当事者全員が平等の権利を保有する。婚姻の維持は、当事者全員の協力によりなされなければならない。
2項 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻および家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
43条   日本国連邦政府および地方公共団体は、自らが担当する行政区域だけではなく、地球的な環境問題の克服に向けて主体的に行動しなければならない。
44条 1項 全ての日本国民は、肉体的にも精神的にも健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2項 日本国連邦政府は、全ての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上および増進に努めなければならない。
3項 全ての日本国民および日本国在住民は家庭内暴力と扶養義務の放棄から解放される。国はこれを保障する。
45条 1項 全ての日本国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2項 全ての日本国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする。国は法律で定められた教育を無償化することができる。
  3項 日本国連邦政府は、継続的に教育環境の整備に努めなければならない
46条 1項 全ての日本国民は、勤労の権利を有し、正当な理由がない場合を除いてその義務を負う。
2項 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件は、精神的にも肉体的にも健康で文化的な最低限の生活を保証するものでなければならない。これらの条件に関する基準は、法律で定める。
3項 児童を酷使してはならない。
47条   勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
48条 1項 財産権を侵害してはならない。
2項 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように法律でこれを定める。
3項 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。
49条   全ての日本国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。
50条   死刑制度は、これを廃止する。
(注)党内で、条文に書くことに反対する意見あり。
51条   何人も、法律の定める手続によらなければ、その自由を奪われ、またはその他の刑罰を科せられない。
52条   何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
53条   何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
54条   何人も、理由を直ちに告げられ、かつ、直ちに弁護人に依頼し、弁護人が同席する権利を与えられなければ、抑留または拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人およびその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
55条 1項 何人も、その住居、書類および所持品について、侵入、捜索および押収を受けることのない権利は、第の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、かつ捜索する場所および押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2項 捜索または押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行う。
56条   取り調べに関して、被疑者人はいかなる場合にも資格を有する弁護人を依頼し、公費の負担でこれを録画することができる。被疑者自らがこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
57条   拷問および残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
58条 1項 全ての刑事事件において、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2項 刑事被告人は、全ての証人に対して審問する機会を充分に与えられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3項 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
59条 1項 何人も、自己に不利益な供述を強要されてはならない。
2項 強制、拷問若しくは脅迫による自白または不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3項 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、または刑罰を科せられない。
60条   何人も、実行の時に適法であつた行為または既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。
61条   何人も、抑留または拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、日本国連邦政府は法律の定めるところにより、補償を行わなければならない。
第五章 連邦議会と政党
62条   連邦議会は、日本国の国権の最高機関であって、日本国連邦政府における唯一の立法機関である。
63条   連邦議会は、衆議院および参議院の両議院でこれを構成する。
64条 1項 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2項 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
65条   衆議院は全国民の意見を均等に代表し国の政策に対する意思決定を行う場である。ゆえに、一票の格差が発生することは避けなければならない。
66条   参議院は、日本国の各州がそれぞれ平等の有すべき権利があるとの認識に基づいて、州およびそれに準じた各地域の要望をできるだけ反映させながら国の政策に対する意思決定を行う場である。ゆえに、州およびそれに準じた地域間で、一票の格差が発生することは許容されなければならない。
67条   両議院の議員およびその選挙人の資格は、法律でこれを定める。ただし、人種、信条、性別、障害の有無、性的指向、社会的身分、門地、教育、財産または収入によって差別してはならない。
68条   衆議院議員の任期は、五年とする。ただし、衆議院が解散された場合には、その期間満了前に終了する。その際、衆議院総選挙によってあらたに選ばれた衆議院構成員の任期は、前期の議員について議会解散がなかった場合の任期終了日までとなる。
69条   参議院議員の任期は、五年とする。各州および日本国連邦政府が定めた州に準ずる各地方公共団体の代表に対して、定員の十%以下の議席を配分し、残りの議席に関しては、二年半ごとに構成員の半数を改選する。
70条   選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
71条   何人も、同時に両議院の構成員たることはできない。
72条   両議院の構成員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
73条   両議院の構成員は、法律の定める場合を除いては、任期期間中は連邦議会の休会中以外は逮捕されず、会期前に逮捕された構成員は、その会議の要求があれば、任期中にこれを釈放しなければならない。
74条   両議院の議員は、議院で行った演説、討論または表決について、院外で法的な責任を問われない。
75条   連邦議会合同会議は、両議院に所属する連邦議会構成員全員によって構成される。連邦議会合同会議は、定員の半数の賛成をもって連邦議会議長および連邦議会副議長を選出するほか、第84条2項に定める場合において法律案について議決を行う。
76条   連邦議会は通年開催され、適時休憩を入れる。
77条   連邦議会は、休会中であってもいずれかの会議の定数の四分の一以上の要求があれば、閣僚評議会は、要求があった日から三十日以内に連邦議会の召集を行わなければならない。
78条 1項 衆議院が解散されたときは、国は解散の日から四十日以内に衆議院の総選挙を行い、閣僚評議会は、その選挙の日から三十日以内に衆議院を召集しなければならない。
2項 衆議院が解散されたときは、参議院は同時に休会となる。ただし、閣僚評議会は、国に緊急の必要があるときは参議院を招集することができる。
3項 前項但書の緊急招集において採られた措置は臨時のものであつて、次の連邦会議開会の後十四日以内に衆議院の同意が得られない場合には、衆議院が解散されていた間に参議院が議決した全ての決議はその効力を失う。
79条   両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。ただし 、議員の議席を失わせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
80条 1項 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2項 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
81条 1項 両議院の会議は、公開とする。ただし、両議員とも、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2項 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、かつ一般に頒布しなければならない。
3項 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
82条 1項 両議院は、各々その議長、副議長その他の役員を選任する。なお、連邦議会議長および副議長は、片方の院の議長を兼任することができる。
2項 両議院は、各々その会議その他の手続および内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
83条 1項 法律案、予算案、条約案、閣僚評議会議の構成に関わる決議案(以下、これらをまとめて決議案とよぶ)は両議会で可決したとき法律となり、大統領が署名をするか、可決後三十日以内に拒否権を発動するか署名しなければ自動で成立する。当該決議案に対して大統領が拒否権を発動した場合、当該決議案は、各議院での出席者の三分の二以上の同意を超える賛成をもって再可決された場合のみ、自動で成立する。
2項 両議院の決議案の議決が違った場合は、両会議間で協議会を開き、対応を協議することができる。この場合、両院協議会が決議案の修正に同意しなかった場合、連邦議会議長は、連邦議会合同会議を招集し、当該決議案を議決しなければならない。
3項 前項で規定された決議案は、出席者の過半数で可決するが、事前の採決で片方の議院の賛成が二十五%未満であった場合は、連邦議会合同会議において当該決議案を審議・議決することはできない。
4項 各議院はもう一方の議院が可決した決議案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に議決しないときは、当該議院は、もう一方の議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
84条   連邦議会は、大統領が著しい憲法違反である行為を行った場合、各議院での出席者の三分の二以上の同意を超える賛成をもって弾劾を発議することができる。
85条   予算は、閣僚評議会が連邦議会に提出しなければならない。一方で、議員立法による予算提出を認める。
86条   両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭および証言並びに記録の提出を要求することができる。
87条   閣僚評議会議長その他閣僚評議会構成員は、両議院の片方に議席を有すると有しないに関わらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁または説明のため出席を求められたときは、本人またはその代理人が必ず出席しなければならない。
88条 1項 連邦議会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2項 前項で規定した弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
89条 1項 日本国連邦政府は、政党が議会制民主主義に不可欠な存在になっていることを鑑み、その活動の公正さの確保およびその健全な発展に努めなければならない。
2項 政党の政治活動の自由は、これを保障する。
3項 政党に関する事項の詳細は、これを法律で定める。
第六章 大統領、副大統領、大統領代行
90条   日本国連邦政府の行政権は、国家評議会に属する。
91条   大統領は行政の最高責任者とする。副大統領は大統領を補佐して職務を行う。大統領および副大統領の定員はそれぞれ一名である。
92条   大統領および副大統領は民主主義と人権を擁護し、持続可能で公正な社会を実現するために、常に誠実な態度で国政を指導しなければならない。
93条   大統領および副大統領は、行政権の行使について、連帯して国民と憲法裁判所に対して責任を負う。
94条   大統領および副大統領は一つのペアとして、国民からの直接投票によって選出される。
95条   大統領および副大統領は、大統領および副大統領選出選挙の結果、および憲法で定める大統領の承継順位に基づいて、天皇および憲法裁判所長官の承認を経て就任する。
96条   大統領および副大統領は満三十五歳以上の日本人で、日本国籍のみを保有する者でなければならない。
97条   大統領および副大統領の任期は一期五年とし再選は一回のみ可能とする。
98条   副大統領は大統領が職務を執行することが不可能になった場合のみ大統領に就任する。当該副大統領が任期途中で大統領に就任した場合、大統領としての任期は前大統領の残りの任期と同一である。
99条   大統領・副大統領選出選挙は二回投票制とする。第一回投票で有効投票数の過半数を得た大統領・副大統領候補の組み合わせがない場合は、上位二ペア間で決選投票を行い、その勝者となるペアの大統領候補と副大統領候補がそれぞれ大統領、副大統領の当選者となる。
100条 1項 国は下記の場合、大統領代行を一名設置することができる。すなわち、大統領が、存命かつ代表としての職務を執行することが不可能となった場合にのみ、副大統領は大統領代行として職務を遂行する。職務執行が不可能であることの定義は、これを法律で定める。
2項 前項において副大統領が職務を執行することが不可能となった場合は、大統領代行・副大統領代行継承規則において定められる順位に従い、規定された者が大統領代行として大統領の職務を代行するものとする。大統領および副大統領の法律上の義務は全て大統領代行に準用される。大統領が不可能であることの定義は、これを法律で定める。
3項 前項において、大統領代行が就任した日から三か月以内に大統領代行と副大統領を選出する選挙が行われなくてはならない。当該選挙における大統領代行および副大統領は連邦議会での投票により選ばれる。選出方法に関する詳細は、これを法律で定める。
4項 前項で規定された選挙によってえらばれた大統領および副大統領の任期は、現在の大統領の残りの任期と同一である。
101条   大統領代行および副大統領代行の任務、権限、義務は大統領および副大統領のそれを準用するが、詳細は法律にて定める。
102条   大統領は国家評議会を主催し、国家評議会を通じて閣僚評議会を監督することにより、国務を総統する。
103条   大統領は閣僚評議会議長を指名する。
104条   大統領は、閣僚評議会の開催を停止することができる。
105条   大統領は、閣僚評議会議長以下、閣僚評議会構成員全員を罷免することができる。
106条   大統領は、法律で規定された分に関して、最高裁判所および憲法裁判所の裁判官を指名する。
107条   大統領は、最高司令官として防衛機構を指揮する。
108条   大統領は、外交関係を処理する。
109条   大統領は、文武官を任命することができる。
110条   大統領は、外交使節を接受する。
111条   大統領は、連邦議会と天皇の承認を得て恩赦を行うことができる。
112条   大統領は、法律案の審署・再審議を連邦議会に要求することができる。連邦議会は、当該法律案に関して審署・再審議を拒否することはできない。
113条   大統領は、年一回、連邦議会において施政方針演説を行い、年二回、施政方針に則って行った行政の成果について連邦議会に報告をし、質問を受けそれに答えなければならない。
114条 1項 大統領は、閣僚評議会で議決された政令および連邦議会または国民投票で可決成立した法律案に署名する。
2項 大統領は、連邦議会において、閣僚評議会不信任案が可決された場合、国民会議の解散を行うことができる。
115条 1項 大統領は、政策の実行に重要事態が生じた場合、憲法裁判所の同意を経て国民会議の解散を行うことができる。
2項 前項で規定された政策の実行に重要事態が生じた場合とは、閣僚評議会提出法案が議会において否決され、そのことが閣僚評議会の政策実現に明らかに支障をもたらされた場合である。憲法裁判所はその他の理由による大統領および閣僚評議会の裁量的な議会の解散は認めてはならない。
116条   大統領は、閣僚評議会が作成した法律案および条約案を、連邦議会に提出することなく、直接国民投票にかけることができる。当該法律案および条約案は有効投票の過半数の賛成をもって可決成立する。
117条 1項 大統領は閣僚評議会議長を兼任することができないが、第134条に定める場合のみ、一時的に閣僚評議会議長を代行することができる。
2項 副大統領は、閣僚評議会議長を兼任することができる。
118条   大統領の職務を補佐する行政機関として大統領府を設置する。
119条   大統領および副大統領は、その在任中、憲法裁判所の同意がなければ、訴追されない。ただし、これによって訴追の権利が害されることはない。
120条   法律および政令の発効には、大統領の署名を必要とする。
第七章 国家評議会と国務大臣
121条   行政の最高意思決定機関として国家評議会を設置する。
122条   主権者たる国民に奉仕するために、大統領と副大統領以外の国家評議会の構成員として、国政を司る重要官職を国務大臣という。 (注):「国務大臣」の名称の使用については、党内に反対意見があり、将来的に「国務委員」など他の名称に変更することを排除するものではない。
123条   全ての国務大臣は日本国民かつ文民でなければならない。
124条 1項 国家評議会は、大統領が議長を務める。副大統領、閣僚評議会議長、各国務大臣、各州知事は国家評議会の構成員となる。全ての法律案、予算案、条約案、閣僚評議会の構成に関する国会評議会の議決は、閣僚評議会の構成員全てが議決に参加した時のみ、閣僚評議会による議決と同じ効力を持つ。
2項 前項に関して、詳細は、これを法律にて定める。
125条   国家評議会に所属し閣僚評議会に所属しない国務大臣は、その在任中、大統領の同意がなければ、訴追されない。ただし、これによって訴追の権利が害されることはない。
第八章 閣僚評議会および日本国連邦行政府
126条 1項 閣僚評議会は、国家評議会の助言を得て、各省庁組織により構成される日本国連邦行政府を指導する。
2項 閣僚評議会議長は閣僚評議会を代表し、議長を務める。
127条 1項 閣僚評議会は、法律の定めるところにより、閣僚評議会議長およびその他の構成員となる国務大臣により組織される。
2項 閣僚評議会は、自身に与えられた行政権の行使について、大統領、国家評議会、連邦議会、憲法裁判所に対して連帯して責任を負う。
128条   全ての閣僚評議会構成員は連邦議会の議決で、これを任命する。この任命は、他の全ての案件に先だって、これを行う。
129条 1項 閣僚評議会議長は、閣僚評議会に所属する自分以外の国務大臣を指名する。
2項 閣僚評議会議長は、大統領の承認を経て閣僚評議会構成員である国務大臣を罷免することができる。
130条   閣僚評議会は、連邦議会で不信任の決議案が可決され、または信任の決議案が否決されたときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
131条   閣僚評議会議長が欠けたとき、または国民会議議員総選挙の後に初めて連邦議会の召集があったときは、閣僚評議会は、総辞職をしなければならない。
132条   第百三十条の場合には、あらたな閣僚評議会議長が任命されるまで、大統領または副大統領が閣僚評議会議長代行を務めるかまたは現在の閣僚評議会議長が大統領の承認を経て職務の遂行を続ける。他の閣僚評議会構成員に関しても、あらたに任命されるまで引き続きその職務を行う。
133条   閣僚評議会議長は、閣僚評議会を代表して議案を連邦議会に提出し、一般国務および外交関係について連邦議会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。
134条   閣僚評議会は、他の一般行政事務の外、左の事務を行う。
一 法律を誠実に執行する。
二 日本国連邦行政府に割り当てられた外交業務を処理する。
三 法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理する。
四 予算を作成して連邦議会に提出する。
五 この憲法および法律の規定を実施するために、政令を制定する。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
135条   閣僚評議会に所属する国務大臣は、その在任中、大統領または閣僚評議会議長の同意がなければ、訴追されない。ただし、これによって訴追の権利が害されることはない。
第九章 司法
136条 1項 全ての司法権は、最高裁判所および法律の定めるところにより設置する下級裁判所、さらに憲法の合憲、違憲を判断する憲法裁判所に属する。
2項 憲法裁判所以外の特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
3項 全ての裁判官は日本国籍のみを保有する日本国民でなればならない。
4項 全ての裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法および法律にのみ拘束される。
137条 1項 最高裁判所は、民事および掲示訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2項 検察官は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
3項 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
138条   裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。
139条 1項 最高裁判所長官は憲法裁判所長官を兼ねることができない。
2項 長官以外の最高裁判所の裁判官に関しては、憲法裁判所の裁判官を兼ねることができる。
140条   最高裁判所長官は、最高裁判所判事推薦委員会による推薦後、天皇および大統領の承認を経て就任する。
141条 1項 最高裁判所判事推薦委員会の委員の構成に関しては、行政府・立法府・司法府から均衡を取った形で任命される。
2項 行政府任命と立法府任命の委員の構成比率は一対一であり、行政府任命と立法府任命の委員の合計は司法府任命の委員の数を上回ってはならない。
3項 行政府からの任命は、国家評議会により決定される。
4項 立法府からの任命は、連邦議会における各勢力の議席に応じた割合に決定されなければならない。
5項 司法府からの任命に関しては最高裁判所と憲法裁判所が任命する。最高裁判所が任命した推薦委員会委員の人数と憲法裁判所が任命した推薦委員会委員の人数の比率は二対一とする。
6項 最高裁判所判事推薦委員会の委員の具体的な選出方法は、これを法律で定める。
142条   最高裁判所のその他の裁判官は、最高裁判所判事推薦委員会による推薦後、連邦議会による反対がない限り、天皇および大統領の承認を経て就任する。
143条   憲法裁判所長官は、憲法裁判所判事推薦委員会による推薦後、天皇および大統領の承認を経て就任する。
144条 1項 憲法裁判所判事推薦委員会の委員の構成に関しては、行政府・立法府・司法府から均衡を取った形で任命される。
2項 行政府任命と立法府任命の委員の構成比率は一対一であり、行政府任命と立法府任命の委員の合計は司法府任命の委員の数を上回ってはならない。
3項 行政府からの任命は、国家評議会により決定される。
4項 立法府からの任命は、連邦議会における各勢力の議席に応じた割合に決定されなければならない。
5項 司法府からの任命に関しては憲法裁判所と最高裁判所が任命する。憲法裁判所が任命した推薦委員会委員の人数と最高裁判所が任命した推薦委員会委員の人数の比率は二対一とする。
6項 憲法裁判所長官推薦委員会の委員の具体的な選出方法は、これを法律で定める。
145条   憲法裁判所のその他の裁判官は、憲法裁判所判事推薦委員会による推薦後、連邦議会による反対がない限り、天皇および大統領の承認を経て就任する。
146条 1項 最高裁判所および憲法裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行われる衆議院総選挙および参議院通常選挙の際、国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行われる衆議院議員総選挙および参議院議員通常選挙の際、更に審査に付し、その後も同様とする。
2項 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
  3項 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
147条 1項 最高裁判所および憲法裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した以後、再選することができない。
2項 最高裁判所長官および憲法裁判所長官の任期は一期五年とし、一回の再選を妨げられない。
3項 一般判事は一期五年、最大四期二十年を任期とする。
148条   最高裁判所および憲法裁判所に所属する全ての裁判官は、定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
149条 1項 最高裁判所の下に位置する全ての裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、大統領がこれを任命する。その裁判官は、任期を五年とし、最大四期まで再任されることができる。ただし、各裁判所の長官は一期までしか再任されない。
2項 前項に関して、全ての裁判官は法律の定める年齢に達した時には退官する。
150条   最高裁判所の下級裁判所の裁判官は、全て定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
151条   憲法裁判所は、多数決の合議をもって全ての法律・条約・政令、および大統領の外交防衛命令の一時差し止めを行うことができる。
152条   憲法裁判所は、大統領・閣僚評議会議長・閣僚評議会議長が著しい憲法違反である行為を行った場合は、自ら発議して、連邦議会の各院での出席者の三分の二以上の同意を経て大統領・閣僚評議会議長の職務を一時停止することができる。
153条   憲法裁判所は、大統領および閣僚評議会議長が著しい憲法違反である行為を行い、これに対して連邦議会の議決、閣僚評議会構成員全員が出席する形での国会評議会による発議、閣僚評議会全員の発議のいずれかがあった場合は、大統領および閣僚評議会議長の職務を一時停止することができる。
154条   憲法裁判所は、大統領が著しい憲法違反である行為を行い、これに対して連邦議会の各院での出席者の三分の二以上の同意を超える弾劾の発議がなされた場合は、直ちに大統領の職務を一時停止し、弾劾裁判を開始しなければならない。
155条 1項 全ての裁判の対審および判決は、公開法廷でこれを行う。
2項 第一項に関して、裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序または善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行うことができる。ただし、政治犯罪、出版に関する犯罪またはこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。
第十章 財政
156条   国の財政を処理する権限は、連邦議会の議決に基づいて、これを行使しなければならない。
157条   あらたに租税を課し、または現行の租税を変更するには、法律の定める条件によることを必要とする。
158条   国費を支出し、または国が債務を負担するには、連邦議会の議決に基づくことを必要とする。
159条 1項 閣僚評議会は、毎会計年度の予算を作成し、連邦議会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
2項 閣僚評議会は、当該会年度開始前に第一項の議決を得られる見込みがないと認めるときは、暫定期間に係る予算案を連邦議会に提出しなければならない。
160条   閣僚評議会は、毎会計年度中において、予算を補正するための予算案を提出することができる
161条   毎会計年度の予算は、法律の定めるところにより、連邦議会の議決を経て、翌年度以降の年度においても支出することができる。
162条 1項 予見し難い予算の不足に充てるため、連邦議会の議決に基づいて予備費を設け、閣僚評議会の責任でこれを支出することができる。
2項 全ての予備費の支出については、閣僚評議会は、事後に連邦議会の承諾を得なければならない。
163条   全ての皇室財産は、日本国連邦政府に属する。全て皇室の費用は、予算に計上して連邦議会の議決を経なければならない。
164条   公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、または公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、またはその利用に供してはならない。
165条 1項 日本国連邦政府の収入支出の決算は、全て毎年会計検査院がこれを検査し、閣僚評議会は、次の年度に、その検査報告とともに、これを連邦議会に提出、承認を受けなければならない。
2項 会計検査院の組織および権限は、法律でこれを定める。
166条   閣僚評議会は、連邦議会および国民に対し、定期に、少なくとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。
第十一章 地方自治
167条   日本国の地方自治は、住民の参画を要件として、住民に身近な行政を主体的かつ総合的に実施することを旨として行う。
168条   住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公平に分担する義務を負う。
169条 1項 日本国は、基礎的自治体として政令市を含む市町を基本単位、広域自治体として州として基本単位とする連邦国家である。州を補完する下部広域自治体として県、特別市を定める。また、日本国の首都に関しては、連邦特別区としてどこの州にも属さない特別地方自治体として存在することを認める。
2項 州を補完する下部広域自治体として県、特別市を定める。さらに、県を補完する特別地方自治体として郡の設立を認める。
3項 日本国の首都に関して、連邦特別区として、どこの州にも属さない特別地方自治体として存在することを認める。
170条   日本国連邦政府は、連邦国家に属する広域自治体である州の主体性を擁護する一方、日本国連邦政府と各州は地方分権により発生する地域間格差の解消に最大限協力して努めなければならない。
171条 1項 各州は、その内容を憲法裁判所および連邦議会が承認した時のみ、州独自の憲法を制定することができる。
2項 前一項に関して、州の憲法は、この憲法に整合的でなければならない。
172条   前条に記載された事項以外の地方公共団体の組織の運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。
173条 1項 地方公共団体には、法律の定めるところにより、自身の立法および議事機関として議会を設置する。
2項 地方公共団体の長、その議会の議員および法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
3項 法律で定められた住民投票の結果は、議会の議決と同様の効果を持つ。
174条   地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、および行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
175条 1項 地方公共団体の経費は、州法または条例の定めるところにより課する地方税その他の自主的な財源をもって充てることを基本とする。
2項 地方公共団体において、前項の自主的な財源だけでは地方自治体の行うべき役務の提供ができないときは、法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講じなければならない。
176条   特定の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、当該地方公共団体の住民の投票において有効投票総数の過半数の同意を得なければ、連邦議会は、これを制定することができない。
177条   地方公共団体の領域が変更される場合、関係する全てのもとの地方公共団体により行われた住民投票において有効投票の過半数を超える賛成を得ること、下の地方公共団体およびその議会およびその全域を管轄する最も下級な裁判所の承認、大統領および連邦議会および憲法裁判所の承認の全てを必要とする。さらに、領域の変更により、新しい地方公共団体が誕生する場合は、当該地域において行われた住民投票において有効投票の過半数を超える賛成を得ることを必要とする。
178条 1項 地方公共団体が日本国から独立するには、当該地方公共団体により行われた住民投票において有効投票の過半数を超える賛成を得ること、最高裁判所を含む当該地方公共団体およびその議会およびその全域を管轄する全ての裁判所の承認、大統領および連邦議会および憲法裁判所の全ての承認を得た上で、天皇による当該地方公共団体の日本国からの離脱宣言を必要とする。
2項 前項において、関係する裁判所が独立の是非を判断することに関して、手続きに問題があったか否か以外のことを考慮してはならない。
第十二章 改正
179条   この憲法の改正は、各院の総議員の三分の二以上の賛成で、連邦議会がこれを発議し、憲法改正の国民投票において、投票率が五十%を厳密に超え、かつ有効投票数の過半数の賛成が得られた場合のみ成立する。
180条   憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇と大統領は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
第十三章 最高法規
181条   この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在および将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
182条 1項 この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2項 日本国が締結した条約および確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
183条   天皇または摂政および大統領、副大統領、閣僚評議会議長以下国務大臣、連邦議会議員、裁判官その他の公務員はこの憲法を遵守する義務を負う。
第十四章 補則
184条   この憲法は、公布の日から起算して六か月を経過した日から、これを施行する。
185条   この憲法を施行するために必要な法律の制定およびこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前にこれを行うことができ、この憲法を施行する前に効力を発することができる。
186条 1項 この憲法施行の際、各州政府がまだ成立していないときは、その成立までは、各州に所属することになる都道府県議会の合意により設立された機関が、各州政府の業務を代行する。  
2項 この憲法施行の際、各州政府がまだ成立していないときに制定された州法を施行するには、新しくできた各州議会の承認を必要とする。

 

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