81回目の広島「原爆の日」を迎えて
81年前の今日、広島の街は一発の原子爆弾によって焦土と化し、日常を生きていた多くの市民の命が理不尽に奪われました。
私たちは、あの惨禍によって犠牲となられたすべての方々の御霊に、心から哀悼の意を表します。また、長い歳月を経た今なお、癒えることのない心身の痛みとともに歩んでこられた被爆者の皆様とそのご遺族に、深い敬意とお見舞いを申し上げます。
「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」――。被爆者の皆様が繰り返し語ってこられたこの訴えは、私たちの平和への誓いの原点です。
しかし、被爆80年の節目から今日までの一年、世界では戦争と分断が続き、核兵器が使用される危険も後退していません。
ロシアによるウクライナ侵略は今なお続き、多くの市民が犠牲となっています。ガザでも、停戦後なお攻撃と深刻な人道危機が続き、人々の生命と尊厳が脅かされています。いかなる国や勢力であっても、自らの安全や正義を理由に、他国の主権や市民の生命を踏みにじることは許されません。
昨年6月の米国によるイラン核施設への攻撃後も緊張は収まらず、本年2月には、トランプ米政権とイスラエルが再びイランに対する大規模な軍事攻撃に踏み切りました。イランによる周辺国などへの報復攻撃も重なり、中東全体が一層深刻な戦火にさらされました。
イランの核活動をめぐる国際社会の懸念は重く、イラン政府には、核兵器不拡散条約上の義務を履行し、国際原子力機関による査察と検証に全面的に協力する責任があります。
しかし、核開発への懸念があるからといって、外交的な解決を尽くさず、核施設を含む他国領域への軍事攻撃を正当化することはできません。原子力施設への攻撃は、放射性物質の拡散や大規模な原子力災害を引き起こし、当事国のみならず、周辺地域と将来世代をも取り返しのつかない危険にさらします。
核不拡散を掲げながら武力によって核施設を破壊し、国際的な査察と検証を困難にするトランプ政権の行動は、重大な自己矛盾です。国際法と国連憲章を軽視した一方的な軍事力の行使は、核の拡散を防ぐどころか、各国に軍備増強を促し、国際秩序を一層不安定にします。
私たちは、米国と同盟関係にあるからこそ、こうした行動に対して沈黙することなく、明確に異議を唱えます。同時に、イランによる民間人や周辺国を巻き込む報復攻撃も正当化されません。すべての当事国は軍事的なエスカレーションを停止し、国際原子力機関による検証を伴う外交的な解決へ立ち戻るべきです。
核軍縮と軍備管理を支えてきた国際的な枠組みも、大きく揺らいでいます。本年2月には、米国とロシアの戦略核兵器を制限してきた新戦略兵器削減条約、新STARTが、後継となる枠組みのないまま失効しました。また、本年の核兵器不拡散条約運用検討会議も、最終文書について合意できないまま閉幕しました。
核保有国が自らの軍縮責任を果たさず、核戦力の増強と近代化を競い続けることは、世界を安全にするものではありません。偶発的な衝突や誤算、誤った判断によって、核兵器が使用される危険を高めるだけです。
だからこそ、被爆国である日本には、核兵器の非人道性を訴えるとともに、対立する国々の間に対話の道を開き、具体的な核リスクの低減と軍備管理を促す責任があります。
私たちは日本政府に対し、本年11月から開催される核兵器禁止条約第1回運用検討会議に、少なくともオブザーバーとして参加することを求めます。
これは、日本の安全保障上の現実を無視することでも、異なる立場の国々との対話を拒むことでもありません。条約への立場の違いを超えて議論の場に加わり、核保有国と非保有国、核抑止に依存する国と核廃絶を求める国との間にある深い分断を埋めるためです。
核兵器のない世界への道のりは、決して平坦ではありません。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、国民の生命と平和を守る責任を果たしながら、核兵器が使用される危険を着実に減らしていくことが求められています。
理想を語るだけでも、現在の核依存を追認するだけでも、未来を切り開くことはできません。核軍縮と不拡散、危機管理、対話と外交を積み重ね、現実の安全を確保しながら、核の脅威を段階的に減らしていく。その先に、核兵器のない世界を展望することが、被爆国日本の果たすべき責任です。
そして、核をめぐる危険を考える中で、原子力発電所が抱える安全保障上の脆弱性からも目を背けることはできません。ウクライナやイランにおいて、原子力施設が戦争に巻き込まれ、現実に攻撃の危険にさらされたことは、原発が平時の事故リスクだけでなく、有事には国民の生命と国土を脅かす重大な弱点となり得ることを示しています。
未来進歩党は、再生可能エネルギー、省エネルギー、蓄電設備及び分散型電力網への投資を進めます。同時に、原発立地地域の経済と雇用を守り、そこで暮らし、働く人々を置き去りにしない公正な移行を伴う、計画的な脱原発を進めます。
平和を志すことは、国民の生命と暮らしを守る責任から目を背けることではありません。外交と国際協調を尽くし、必要な危機管理と安全保障を確保しながら、戦争と核兵器がもたらす危険を一つずつ取り除いていく。理想と現実の双方に責任を持つことこそ、平和国家として日本が歩むべき道です。
未来進歩党は、被爆者の皆様の思いを胸に刻み、広島と長崎の教訓を、核戦争を起こさせないための具体的な外交と政策へと変えていきます。
被爆81年のこの日、私たちは、戦争と核の脅威から解放された平和で希望ある社会を次の世代へ引き継ぐため、未来への責任を果たし続けることを、広島の地から改めてお誓い申し上げます。
2026年8月6日
未来進歩党代表
鈴木しんじ
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